千葉県南房総市富浦町(台風15号覚書)
台風15号で被害にあわれた皆様にお見舞い申し上げます。
電力とデータ通信のネットワークの復旧に今も作業されている方に感謝します。どうかご自身の安全も気を付けて。
十音も義理の母が南房総市富浦町(南端近く)で被災し、日帰りではありますが台風から2夜あけた9/10に東京へ連れてきました。
南房総市、と括るよりも利己的でしかし情報は多かったかもしれないその時のメモです。
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9月10日。
午前10時半-午後5時の間に、アクアライン爆走して房州の南行って、年寄り1人だけレスキューして写真撮って東京に帰って道路状況ツイートしました。
↓ 南房総市富浦町。この上が東京湾フェリーが到着する浜金谷、もっと北が東京湾アクアラインがつながっている木更津です。
道路はすきすき、道路沿いの家の瓦は剥がれている、屋根損壊、給水支援なし、電波圏外、その間に停電による二次災害が増えている。
9/12現在、やっと動き始めたツイッターに支援の始動がこんなに遅いものかと唖然としています。
(改造と改憲の次ぐらいに考えているらしい政府には呆れてものも言えません。以下は首相の一日の9/10 改造内閣発表に首相が夢中になっている10:30-17:00の間に一般市民ができたことともいえます)
まず、この日の朝、24時間、富浦と電話が通じないことからまずい状況だということが分かり、南房総市は被災地だと認識した我々素人はすごく緊張しました。
行っていいのか?と議論しましたが、アクアラインが開通していることがGoogleマップの「ライブ交通情報」でわかったので、
※今日見たらこういうサイトもあるのですね、
「ドライブトラフィック https://www.drivetraffic.jp/」
素人らしく目的を義母のレスキューだけに絞ることにし、行きつかなかったら途中で引き返すと番頭と約束し、乗り合わせも伝言も承らずにまずは往復しました。
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自分たちのことしかしませんでした。罪悪感があって、向かっていることだけはツイートし、せめても写真を撮り、見たままの状況を書きました。
でもどんどん電池が減る。本当に役立たずだと思いました。
今でも、SNSを使って、伝言を募ったほうがよかったのかとか、物資をもっと持って行くべきだったのではとか悩みます。
浮島前で灼熱の渋滞だったけれど、アクアラインはスムーズに通り、館山道が開通したことがツイッターから分かったので、高速で富浦まで南下することにしました。サービスエリアはすべて営業していませんでした。
富浦の避難所である「富浦子ども園」が高速道路の出口そばなので、先にそこに行くかと話していましたが、義母は義父が建てた(大工だったのです)家をすごく愛しているので、水道がとまってもそこに居るのではないかと直感し、まずは多田良へ向かう。
道路標識が折れ曲がり、信号は消えて、ビニルハウスが骨になってゴーストタウンのように人がおらず静かでした。人がいないのは、災害の前からそうなのですが。
そのあと入ろうとした家の前の道に電柱が倒れ電線がだらりと道路に伸びていて、凍り付きました。
義母は風のない灼熱の平屋の玄関で戸をあけはなち、飛び込んだわたしをびっくりした顔で見て「(おもてなしするような食材は)何もないのよ?」と笑うのです。
ああこの辺の高齢者は、誰かが自分を迎えに来るとか、物資が来るとかは全く期待していなくて、風のない、湿度100%の暑い部屋でお風呂にも入れず、電気がつくのを待っているのだと思いました。
番頭が台所に入り、冷蔵庫からの異臭に気が付きました。
部屋は本当に暑かった!
こんなに急に東京に行くことになっちゃって。化粧もしてないのに。お父さん、しばらく留守にしますね。
となんだかイベントに参加するみたいに言う義母をせかし、洋服、薬、化粧道具、貴重品をもたせ、ブレーカーを落とし、
誘拐のごとく車に乗せました。
途中お墓の具合を見て、
無縁仏以外にも墓標が倒れていました。
↑お墓のお堂。
↑お堂の中
高速を爆走して東京へ戻る。
まとめ。
#小型の自家発電機器が自治体に配備されるといい。直下型地震が来れば被害はこれ以上と思います。
#携帯やWifiのソーラー充電器があるといい。太陽エネルギーだけはぎらぎらと照り付けていました。
#1日中道路状況だけ流すラジオがあるといいカーラジオで聞けるやつ。
道路が通っているか?!という情報に行きあたらなかった。
#携帯大手はデータの中継局を真っ先に設置するシミュレーションを。
これは、痛感したことなのですが、これほどまでに支援の初動が遅く情報戦の世の中なのであれば、この先直下型地震その他どんなに壊滅的な災害があろうとも、データ通信だけは死守しないといけないのだと思う。
千葉にいる間中、電波が使えずツイートもラインもできなかったということは、支援に関わる間中実況ができないということです。
しかし、それを言い訳に情報を発信できなかったんだよ、と言っていても仕方がないと思う。
#災害時は一般にも高速道を無料開放だといい
このレスキューにかかった道路交通費12,460円+レンタカー代12,027円(念のため24H借りた)
わたしたちにとっては、気軽に何度もいける金額ではありません。
#新聞各社の現場を見てくる力を鍛えてほしい。ネットが通じなかったら、行って、帰ってきて、報じるしかないのでは、そのための現場に行くプロではないのか。台風の経路は事前にわかること。予想して、どこの新聞よりも先に情報を出す競争をしてくれたら。
そういえば昨日 #富浦町 の上には、報道ヘリが一台も飛んでいなかった。交通事故とか、建物倒壊だと、救助活動邪魔するくらい爆音を響かせるのに(そういう時いつも、1台のヘリから情報共有してくださいと思う)。
tenki.jpによればこのあと富浦町には雨が降ります。屋根壊れてて雨ふったら、どうしたらいいんでしょう。
情報のことでは強く感じたのは、今回実は
#御用聞きと飛脚が最強?
だったのでは…
「どことこに住んでいるおばあちゃんの安否がわかりません、見て来て」という伝言を承ってとにかく現地で動き回って、電波のあるところまで戻って報じる人。
#南房総市HP担当頑張れ~!
外に向けても情報を。(9/12追記;さっき副市長が、「HP見ろと言っても災害でネットが通じないんじゃね」とつぶやいているのを発見。その通りなんですけれど、情報発信のネットワークは必要ですよね)
http://www.city.minamiboso.chiba.jp/emergen…/0000000043.html
「また、切れた電線大変危険ですので、絶対に触らず東京電力カスタマーセンター(0120-99-5007)に連絡してください。」
↑ とか書かれても、電話、通じないんですよね。
#どんなにガラパゴスでも、電話ボックスはあったほうがいいですね。防犯上も怖い状況だと思います。
10日時点でTEPCOの車は富浦も巡回して状況把握をしようとしていました。
さて、義母には義姉のおうちに避難してもらっていますが、戻ったあとも厳しい生活が待っていると予想できます。
なによりも、台風の眼が東京湾を北上するとわかった時点で、もっと手をうち、報道の準備をし、停電とネット障害に備えるべきでした。
それは次に生かすこと。
一旦ここで終えます。