Cold War / Lazzaro Felice
十音から歩いて20分、早稲田松竹の2本立てで、
映画を観てきました。
まずは The Music Plant の野崎さんからも超絶お勧めいただいていた、
予告編のコメントが適切なのかは別として、タイトルは適切なんだと思う、
一瞬煙草の火が黄色く見える瞬間があるけれど、モノクロ映画の前者。
スクリーンの横幅が少し狭い、
あとすこしでインスタと同じぐらいになるので、
どこをとっても画の美しさと色彩(黒白なのに)にほうっとなってしまう。
黒ドレスと白い肌の映えること(黒白なのに)
ストーリーは、こうなっちゃうよね、
人生、
ひとりひとり違うのでしょうけれど、
愛×共産主義×芸術ってこの路線しかないね、
という驚かない感じであるがため、それだけに、
細部にぐっと来すぎる。
いちいち注目してしまう。
煙草を必ず2人で吸いあうところに出ている情とか、
録音している横で食べているスープの琺瑯の音とか、
廃墟が教会だったと気付いて帽子を取る心のあった男のその後の変化とか、
画面の前半分が不審げな人の顔顔、後ろ(上)半分が、のんびりした牛、とか。
そしてポーランドのマズレクがそこかしこにアレンジされて出てくる感じ、やら。
ウォッカ2杯を一気してからフランス人の彼女を見極めに行くスラブの女の目線とか、
(おんな二人の向かい合いシーンは色々と、見入ってしまうことが多いです。これ以前でパッと思いつくのは、「リストランテの夜」の吐くミニー・ドライヴァーと仁王立ちで煙草を吸うイザベラ・ロッセリーニのシーン。)
ひさびさに、「映画~」でしか見られない(わたしが耐えられないという意味も含め)メロドラマだったのですが、画角の美しさ×音楽の力がすばらしく、最後までぐいぐい見ました。
そして…本当にエンドロールまで、味わってください。
あるはずのない声が聞こえても、同じ空間にいるどなたかおじさんに怒らないように。
それ、録音された別のおぢさんの声だから。
後者のほうのテーマは「搾取」です。
ラザロって、搾取される聖人でしたっけ。
忘れちゃったのですが。
とにかく、お人よしがとばっちりを受けるという話なんですが、
映画のストーリー説明に出てくる「村人もラザロを搾取するという図式」は、そうかなあ。。。
予告編にもある侯爵夫人がつぶやく「彼らを自由にしてしまったほうが、不幸になる」というのもうなずけないこともない。
そして、自分はお人よしを辞められない。お人よしを辞めないことで幸せになる人ってだれ。そして幸せの基準て?
ぐるぐるといろいろ考えました。
難民に日雇いの仕事を提示するシーンもあるんですが、搾取の仕組みがあぶり出されている。
それでも映画の最後まで、
彼らには唯一の「神」がいて、
それによって、ある種の押さえが効いている。
日本とかだとこういう風には扱われない。
最後のシーンで神を失くした人たちの行動が溢れ、
それはヨーロッパの人が突然日本人になっちゃったみたいなショックがあって、
今回は席を立つのに今までで一番時間がかかった。
いずれもエンドロールまで。
フルでどうぞ。