間と食卓と調子~リフレクソロジー雑司が谷十音

日々のあいま、リフレクソロジーで聴く、心とからだの調子。リフレクソロジスト山﨑絢子のブログ。

十音イタリア・ルネサンス巡礼!④

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*あなたが選べばそれが完璧

 

ヴェネツィアの歩き方は、

スマフォが普及して、

グーグルアースやらマップやらが普及してから、

随分変わってしまったようです。

 

 

みんなが迷い人である感は減ってしまった。

みんなが一所懸命、掌の上のスマフォを見つめて歩いている。

 

眼をあげたら、すばらしい路地と、洗濯物と、

過去の迷う人用の標識があるのに。

 

 

 

でも、わたしたちは、Wi-Fiを持ち歩いていないので…

ようは、宿でしかWi-Fiが通じない状況で通したので…

 

ヴェネツィアでは、迷う。

観光案内所で紙のマップは3ユーロよ、と言われて

意地を張ったのだ。

 

 

 

さて、ヴェネツィアで駅を出た途端、

緑色の運河が垂直に横たわり、

正面対岸に白い寺院があり、

屋台が出て、

人が行きかっている。

 

火を噴く山まで作りそうな勢いで、

旅人のこころを持っていく自信に満ちていて、

圧倒される。

 

頭のいい副将みたいな「国」で、
サンタ・ルチア駅を出た途端にあの景観を置くところから、
人を喜ばせカネを差し出させるあれやこれやの術を気持ちよく繰り出してくる。

 
各国の観光客は苦笑しながら、負けた、と思う。

 
1000年の気合が入り人生のかかったテーマパークだ。

 
右から左へ動かすことと、人を裁く側に立つことで、
追い立てられた移民の立場からガオーっと立ち上がった国。


ヴァポレット(水上バス)とかはすでにパンク気味で、大丈夫かな、とも思う。

けれども、ヴァポレットに乗らないことには、

スーツケースという足枷を持った観光客はどこにも行けないのですけれど。

 

ヴァポレットは、自動券売機が便利だと思います。

1回券が7.5ユーロ(1000円弱)と高いので、

本当は前日からの1日券を譲って次の土地へ行く観光客を待ちたいところですが。

 

 

 

よかろう。

ヴァポレットで停泊所3つめ、サン・スタエ駅に降りる。

 

白いミニドレスを着た金髪のセシールカットの、

アパートのマネジメントさんが待っていて、

「AYAKO ?」と話しかけながら近づいて来る。

 

たばこでも吸ってのんびり待とうとしていた番頭に

「わたしもさっきまで吸ってたわ、どうぞどうぞ」と勧めたあと、

電話をしながらさっさと内陸へ歩いていく。

 

「1日に非常にたくさんのチェックインを承っていますので、

何時にサンタルチア駅に着くか、その乗り継ぎも含めて教えてください。

会えなかったら、次のクライアントのところへ行ってから帰ってきますから、

それまで待っているように」

 

英語で送られてきていた予約確定書が長文ですごいなあと思っていたが、

確かに世界中から入居を受け付けていればそれぐらい強く言わないと収拾がつかないだろう。

 

今回のイタリアで唯一、機能しているシステムを感じた瞬間かも。

 

さて…

ヴェネツィアは、マッキントッシュのOS並みに、

説明がない街だ。

 

沈むタイムリミットがあるせいか(!?)

あまりのんびりしていない。

 

お湯は出るわね、Wi-Fiのパスワードはこれ、あなたたちには大事よね。

アパートの鍵は、チェックアウト時には机に置いていくだけ。

シンプルね!

じゃあね、楽しい滞在を。

 

マネジメントさんがさわやかに出ていく。

アパートは広く、

ベッドルームが二つある…。

 

冷蔵庫があるだけで、番頭と十音は「白ワインが飲める!」と喜ぶ。

 

さて、街へ出よう。

 

今、サンスタエ駅からどう来たか、覚えている?覚えていない。

部屋から出たところで、鍵がすでにかからない。

イタリアではよくあったことで、

重い木のドアを持ち上げたり、押したり引いたりして位置を変えないと、

ようは穴に入らないのだ。

 

それでゼイゼイ言いながら振り向くと、

目の前の道から来たか、

左の道から来たか、もうすでに分からなくなっている。

 

でも、少し歩くと、「サンマルコへ」とか「ロ―マ広場へ」とか、

標識が出て来る。

 

 

 

コツは、行きどまるまで、その標識の示した方角へ進むこと。

その前に気を散らしたら、それは自分の責任で。

行き止まったところには、必ず次の標識がある。

 

行きたい場所がメジャーな場合は、これでなんとか行ける。

 

問題は帰り。

それも、島にいくつかあるスーパーマーケットで食材とワインを仕入れたいという場合とか。

「スーパーマーケットへ」という標識はありませんで、

それはもうぐるぐると、似たような広場を巡って回る。

行けると思ったら運河があって渡れなかったりする。

 

これもジェラート屋さんに入って、

スーパーのありかを訊く。

「まっすぐ行って、右に曲がると、橋があるから渡って、左に行くと、広場にあります。」

2分ぐらい、と言われる。

それ以上歩いていたら、道を間違えているということだ。

 

ヴェネツィア1日目はそんな感じで、

くたくたになってアパートへ帰りつき、

(アパートの場所も、分からなくなっていて、ジェラート屋へ戻って、

路地の名前を頼りに帰還する。

イタリアに限らずヨーロッパは、路地の名前と番地が住所のすべてなので、

予約した宿の住所はネットがなくてもすぐ見られるようにしたらいい)

 

開かない鍵を15分間格闘して開け、

 

 

 

 

ちょろちょろお湯のでるシャワーを大満足で浴びた後、

ニョッキを料理。

 

 

 

倒れ込むように眠る。

 

夜中まで人の声の絶えない路地でしたが、

明け方、スーツケースを引きずる音で目を覚まし、

5時ごろ、サンスタエ駅まで散歩をしました。

 

 ↑そろそろ運河の物流は始まっています。青年たちが元気におしゃべりしながら船を操っていました。

 

 

 

さて、

 

行き止まるまでは示された道を進みなさい、

というメッセージの裏には、

全ての道に行先を示すことはしないし、

遠回りな道に進もうとしている人に知らせることもしないし、

「こちらに行け」とは絶対教えてくれない、

という事実もある。

 

 

 

ヴェネツィアの路地では

スマフォのGPSを持たなければ、

常に自分で考えて選択をしなくてはいけない。

 

同時に、

イタリアの(特に飲食店で)印象的だったのが、

Perfetto !という言葉。

パーフェクト、つまりは、完璧です!という相槌なのですが、

自分の選んだものに対して、

それがどんなに俗っぽい選択であろうとも、

「完璧ですね!」と声を掛けながらメモをとられるので、

すごく自信をもってその道を行ける。

 

アンティパストとして海鮮サラダをください。二人でシェアしたいです。

うんうん。ペルフェット!

そしてプリモでイカスミパスタと、ペペロンチーノをください。

完璧です!!

そして、まず、ワインをください。ヴェネトのワインを飲んでみたいです。

そりゃあいいねー!!!

 

という感じでメニューを持っていかれると、

なんだか最高なディナーコースの選択をしたかのような気分になる。

 

 ↑うん。サラダというか、海鮮グリル盛り合わせです。美味しい…

 

 

「(あなたの選択は)完璧です!」という魔法の言葉。

 

教えはしないが、あなたが選んだ道はどれも完璧だ。

教えてもらいはしなかったが、私が選んだ道は(わたしにとって)一番いい道だ。

 

 ↑短い時間でしたが、「ヴェニスに死す」のリド島にも行って、アドリア海を見てきました!

 

 ↑ とにかく、狭い土地に流すエネルギーが壮大。

この総督邸の会議場も、すごい。あとから思い返すと、ヴァチカンなみに演出力のある宮廷。

 

 

 

 ↑オレのヴェネツィア。カモメは、見晴らしの良いところにとまる習性があるのか、

いつもベストショットな場所でえらそうに胸を張って広いところを眺めている。